(某月某日) 早朝にホテルで食事を摂って、そのまま飛行場へ。午前11時発のバッコック・エアウェイに搭乗した。新興の飛行機会社だ。
機内サービスはなかなか。軽食もでた。一時間20分で到着。
ヤンゴン国際空港は、どう表現すれば良いのか。ともかく辺鄙な田舎の飛行場という風景である。
入国管理ロビィも荷物のベルトもお粗末。外へでると風が熱い。湿度が低いので不快感はないが、ともかくヤンゴンは猛暑である。
長いスカート(「ロンジー」という)を腰にまいたミャンマー独特の民族衣装の地元民が、空港ロビィに屯している。警官など係官だけはズボンだ。
連日四十度近いが早朝にスコールがあったという。意外にもヤンゴンの都心部はクルマの洪水、なかでもおんぼろ中型トラックを改良した通勤バスが目立つ。
市内は緑が豊か、信号が滅多にない。
しかもヤンゴンには人口が550萬人もいるというのに、町はゴミゴミしていない。町のど真ん中に湖がふたつもあり、市内にはゴルフコースも五つもあるというではないか。
しかも湖のほとりに浮かぶ水上レストランは連日満員の盛況。
(ずいぶんイメージと違うなぁ)
広大な面積にせいぜい二階建てか三階建ての建物が並ぶわけだから、町の広さは東京の数倍はあるかもしれない。
ロスアンジェルスのような印象を受けた。
うだるような暑さでも通勤バスは早朝からすし詰め、屋根にも若い男らが乗っている。(バンコックでは都心部に地下鉄が開通して、むしろ渋滞が緩和されたのに)。
もちろん、僧侶の姿が目立つが若い男、こどもが多い。僧侶はバスも観光施設の入場料も無料。
(某月某日) ミャンマーの通貨単位はチャットという。
西側から見れば紙くず同然の紙幣だが、公式レートは一ドル400チャット。以前、外国人は入国に際して200米ドルの両替が義務つけられていたのだが、筆者がついたときは両替処に寄りつく人もなく、うるさいことは要求されなかった。
聞けば、闇市場では一ドルが1000チャット、ホテルのフロントでも1ドルが950チャットで交換してくれる。
しかし政府の為替政策は朝令暮改、要するにデタラメなためミャンマーでの買い物はどこでもドルを歓迎。
この話は前から聞いていたので細かいドルをたくさん持参した。トラベラーズ・チェックは使えないとも言うので、現金だけである。
最初の目的地はモン族の築城したバゴーという町である。ここが『ビルマの竪琴』の舞台だ。
ヤンゴンからバスで二時間ちかくかかった。
チャイブーン四面仏という有名なパゴダもあるが、一番興味があるのは巨大な寝釈迦像。シェタリャウン寺院にある。ミャンマーのような敬虔な仏教徒のくにでは、あらゆる寺院には素足で歩かなければならない。
この寝釈迦は全長60メートル近く高さも16メートルはあるという。
タイ、ビルマ、カンボジアそして中国にも寝釈迦像があり、そのうちの何体かをみたことがあるが、これほど巨大な寝釈迦は初めて。お釈迦様の顔がやさしい。
裏へ廻ると仏足にミャンマー独特の八曜日カレンダーが掘り籠められ、さらに金箔が調密に塗り込められているので、輝くほどだ。
こうした伝統的宗教儀式と日常生活が融合したくに、ある意味で羨ましい。精神生活は、おそらく日本人より豊かであろうから。
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