辛口コラム

書評その31
戦後の意気消沈した日本に活力と勇気を呉れた快著、復刻
風来坊がアメリカで暴れまくったーー痛快な日本男児これにあり


ミッキー安川著 『ミッキー安川のふうらい坊留学記』
(復刊ドットコム)

『ミッキー安川のふうらい坊留学記』

 あの快著(迷書?)が復刊された。
 これはひとつの復刊運動の成果でもある。多くの関係者の努力が影にあった。
 ネット上に投書を重ね、じっさいに予約をあつめて復刊に漕ぎ着けたのだ。ラジオでも呼びかけた。拙メルマガでも呼びかけて、ようやく完成した。
 英語をまったく喋れず単身でアメリカに渡ったミッキー安川は、日本人とみるとぶん殴ってくる荒くれ野郎たちのつどう南部を、黒人、インディアンに混じりながらアルバイトで学費を稼ぎ、まずは小学校からはいって英語を習得しつつ転々と食いつなぎ、しかも不思議な魅力で差別されながらも愛され、女性には人気があり、つらい思いをしながらも友人に恵まれ続けた。
 なんと強靭な精神の持ち主であったのか、それだけでも元気を呉れるのだ。
 この破天荒の留学記は、戦後うちひしがれていた日本人の若者にぶるぶる震えるほどの勇気を与え、大ベストセラーになった。中公文庫にも入ったが、以後絶版状態だった。
 本書により、突如、ミッキー安川は時代の寵児にもなった。芸能界デビュー以後のことで、書けと薦めたのが当時の流行作家だった石原慎太郎、題名を「風来坊留学記」としたのも石原氏だったそうな。
 こんどの復刊の発起人は評者(宮崎正弘)と平沢勝栄、田中慶秋の両衆議院議員。じつはこの三人でラジオ日本で特別追悼番組を作った。
 復刊なって序文を石原慎太郎都知事が、解説を佐藤優氏が書いていることも新鮮、また四十年ぶりに再開した留学時代の友(それもルームメートだった)ロナルド・キャリアー氏がジェイムズマジソン大学の総長となっていて、ミッキーとの特別対談が収録され、これまた破天荒に面白くて、一段と味わい深い復刊となった。

復刊ドットコム 定価1800円+税

waku

表紙

2000-2010 MIYAZAKI MASAHIRO All Rights Reserved