
原題は『SEVEN THINGS YOU CAN‘T SAY ABOUT CHINA』で邦訳の『日本人がしらない』は「世界中の人が言ってはならない中国に関しての七つのこと」というニュアンスが強い。
数ヶ月ほど前に拙著『トランプ大統領vs巨大金融資本』(宝島社)で紹介したのは本書の衝撃的な内容だった。
七つとは「中国は悪の帝国」であること、戦争準備に余念のなきこと、すでに経済戦争を仕掛けていること、米国社会に浸透していること、米国政府に浸透していること、子供達を戦争していること、そして中国が勝つかも知れないという恐怖である。
たとえばアメリカの敗退ぶりの例がある。
ハリウッド映画は中国が悪役の作品をつくらなくなって、製作を終えた作品でも中国のところはデジタルで修正した北朝鮮に改竄した。チャイナマネーの軍門に屈した。
待望の日本語版がでた。
著者のトム・コットンは米連邦議会上院議員で対中タカ派として知られるベテラン。
アメリカはいま国を挙げてアンチ・チャイナだから、左翼のニューヨークタイムズでも、本書の書評がちゃんとでる。そこが日本と異なるところだ。(私事に渉って恐縮ながら評者、中国批判本を80冊ほど書いているが、産経新聞を除いて、拙著が新聞の書評欄で紹介されたことはない。それはそれで見事な「かれらの」連係プレイだ)。
レーガンはソ連を「悪の帝国」と言って東西冷戦終結の源流となった。
トランプは中国を脅威視しているものの、習近平を殺人者呼ばわりせず、優秀な指導者だ、などと褒めあげている。
その一方で、トランプ政権は中国との戦争に備えている。しかし中国スパイが数千数万とアメリカ社会に浸透し、政府機関にもぐりこんだ。軍幹部や退役軍人から米軍のデータを買い取り、基地の周辺と土地を購入し、米国企業へスパイを大量に潜り込ませた。そのうえで、大學の孔子学院ばかりか、中学、高校への宣伝隊を送り、アメリカの子供たちを洗脳し、アメリカを別のかたちで転覆させようとしている。
中国国内では法輪功学習者を拘束し、拷問し臓器を摘出している。ウィグル人は強制収容所にぶち込んだ。
コットン議員の批判と激しい。
「中国共産党の経済戦略とは「嘘をつく、だます、盗みを働く」という三つの言葉で要約することが出来る。中国は新たに手に入れたその経済力で、数兆ドルの資産を盗み、あらゆる産業を弱体化させ、開発技術を乗っ取り、無数の米国人を失業させ、米国全体を強奪したのだ」(88p)
ところが習近平はダボス会議で「中国は開かれた世界経済の発展のために全力を尽くす」としゃあしゃあと言ってのけた。
しかし中国も中国だが、アメリカ人実業家の親中派たちの言動も問題である。
ビル・ゲーツは習近平の勤勉ぶりに感銘を受けたなどとかたり、ザッカーバーグに到っては習近平の著作を全従業員に配り、ホワイトハウスの晩餐会で習近平と面会すると「娘の名付親になってほしい」と頼み込んだ(140p)。
そういえばザッカーバークの夫人は中国人、本人は北京の大學にまねかれたおり中国語で講演し、頭の中はレッドである。
イーロン・マスクは『中国の招来は素晴らしい』と公言した。
ニューサム・カリフォルニア州知事は習近平訪米の折、ゴミだらけのサンンフランシスコ市内の目抜き通りを清掃し、「奇跡的に人間の排泄物がいっさい見られない」ほど町を綺麗にして、かの独裁者を出迎えた
そのうえで「ティム・クックやラリー・フィンクといったビジネスリーダーたちを招いて豪華な晩餐会を開き、主賓の習近平をもてなした」(172p)
ほかの米国企業もこの類い、大きな市場という幻想に取り憑かれた。
なんだか日本の財界人と変わらないなぁ。
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