韓国の反日病理に関しての書物は書店に溢れるが、本書は異色である。
なぜなら朴大統領その人の個人と来歴だけに焦点を徹底的に絞り込んで、その血脈、人脈、金脈から、なぜ狂気ともいえる反日言動に終始するのかを追求しているユニークさが特徴だからである。
両親が暗殺され、雌伏の十年を経て、国会議員になり、やがて大統領候補として与党内に頭角を現し、対立候補を僅差で破って当選した。
日本のマスコミは当初、かの朴正煕大統領の娘だから反日路線は執らず、やや親日的な政策に打って出るのではないかと楽観的な見通しを語っていた。
ところが予測に反して次々と繰り出される反日、侮日言動の数々、世界を「告げ口外交」で行脚し、とうとう主要国家から総スカンをくって孤立したが、それでも懲りずに強制連行、従軍慰安婦、あげくに「性奴隷」と改竄したヒストリーを虚ろに吐き続けた。
韓国ではそうすれば支持率があがるという民度の低さも問題だが、底流に流れるのは、天帝思想と「過去精算」であり、国民性の基底にながれるのは「情緒」という、得体の知れない、非合理で説明がつかない心情なのである。
この情緒が政治を左右するのだ。
他方、日本では、韓国(中国を含めての)反日キャンペーンに用いられて強制連行、従軍慰安婦、性奴隷がまったく存在せず、創始改名は自らが望んでしたことや、ベトナム戦争で、韓国軍がいかなる極悪非道の行為をしたか、満州から引き上げる日本人女性をどれほど強姦したか等、韓国の『犯罪』が日本国民に知れ渡った。反対に韓国では、在韓米軍の慰安のために、多くの売春婦施設を国を挙げて組織していたことなど、彼らの恥部があますところなく暴露される結果となり、あの「征韓論」以来の反韓論が日本で巻き起こるという、逆効果を産んでしまった。
「朝鮮半島には救いがない」「もう付き合うのはよせ」「捨て置け」というのが、現在の日本の世論である。
さはさりながら、朴権恵大統領は、「韓国の国民情緒(国民心情)の性格とその時々の流れをしっかりと見据えながら、自らの政治的な立場や主張を『思い切りよく』変化させてきた」ことが特徴であると呉教授は指摘する。
そして「韓国の政治・社会を動かす支配的パワーは、現在では国民情緒から発せられるパワーなのである」。
ならば、その「国民情緒」の源泉とは何かに関しては本書の肯綮であるため、ここでは紹介を差し控えるが、法律的、合理的、いや論理的な思考ができないか、或いは出来てもそれが別世界の概念として退けてしまうのか、韓国がいつまで経っても大人になれないのは、哀れである、とする。
本書には沈黙の十年間の謎にも筆が及び、朴権恵は両親の暗殺後、いかなる日々を送っていたのかが明かされる。また父親を否定して政治家にデビューしたのも、天帝思想という小中華主義の韓国型バージョンであり、『反日』「左派迎合」『親北』という政治姿勢を維持しなければ選挙では勝てないという韓国社会の悲劇にこそ真因があるのだろう、と呉善花さんは示唆している。
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